スポンサーリンク

【驚異の昆虫語!】ミツバチがダンスで伝える蜜のありか!方向も距離もわかる?

動物・生物
スポンサーリンク
この記事のざっくりまとめ
  • ミツバチのダンスは、働き蜂が巣の仲間に、蜜や花粉がたくさんある花の場所を教えるためのコミュニケーション方法です。
  • 餌場が巣から近い(約100m以内)場合は、クルクル回る「円形ダンス」で「近くに良いものがあるよ!」とお知らせします。方向は伝えませんが、花の匂いで場所を探します。
  • 餌場が遠い場合は、8の字を描きながらお尻を振る「尻振りダンス」を踊ります。このダンスは、餌場の「方向」と「距離」をかなり正確に伝えることができます
  • 方向は、ダンスの直線部分が太陽に対してどの角度にあるかで示し距離は、直線部分を進む時間や、お尻を振る回数で示します
  • このミツバチの「ダンス言語」を発見・解明したオーストリアの動物行動学者カール・フォン・フリッシュは、1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

公園や庭先で、せっせと花の蜜を集めるミツバチ。その小さな体で、どうやって広大な範囲から効率よく蜜や花粉を見つけ出し、巣に持ち帰っているのでしょうか? そして、良い蜜源を見つけた蜂は、どうやってその貴重な情報を巣の仲間に伝えているのでしょう?

実は、ミツバチたちは、私たち人間が言葉を使うように、非常にユニークで複雑な「ダンス」を使ってコミュニケーションをとっているのです。今回は、まるでSFの世界のような、ミツバチの驚くべき「ダンス言語」の秘密に迫ります。

スポンサーリンク

ミツバチのダンスとは?仲間へのメッセージ

セイヨウミツバチのような社会性のハチは、一匹の女王蜂と、少数のオス蜂、そして数万匹にもなる働き蜂が集まって、一つのコロニー(巣)を形成しています。働き蜂の重要な役割の一つが、巣の外に出て食料となる花の蜜や花粉を集めてくることです。

広い野外で効率よく食料を集めるためには、良い花畑(餌場)を見つけた蜂が、巣に戻ってきて、まだ餌場を知らない仲間たちにその場所を正確に伝えることが非常に重要になります。そのためにミツバチが編み出したのが、巣の壁(巣板)の上で披露される、独特な一連の動き、すなわち「ミツバチのダンス」なのです。

この驚くべき行動が、単なるランダムな動きではなく、餌場の位置に関する具体的な情報を伝える「言語」であることを突き止めたのが、オーストリアの動物行動学者、カール・フォン・フリッシュ博士でした。彼は、ガラス張りの観察巣箱を使い、蜂に印をつけて一匹一匹の行動を追跡し、餌場までの距離や方向を変えながら、ダンスのパターンがどのように変化するかを何十年にもわたって詳細に観察・記録しました。そして、ダンスの動きと餌場の位置との間に明確な相関関係があることを発見したのです。この画期的な研究成果により、フリッシュ博士は1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

近くの蜜源は「円形ダンス」でお知らせ

フリッシュ博士の研究によると、ミツバチのダンスは、餌場までの距離に応じて、主に2つのタイプに分けられます。

まず、餌場が巣から比較的近い場所(だいたい50メートルから100メートル以内とされますが、研究によってこの距離の閾値は多少異なります)にある場合、働き蜂は「円形ダンス(Round dance / Rundtanz)」と呼ばれるダンスを踊ります。

これは、その名の通り、蜂が巣板の上で小さな円を描くようにクルクルと回る動きです。時には、右回りと左回りを交互に繰り返すこともあります。このダンスは、仲間の蜂に対して「ねえ、すぐ近くに良い餌場があるよ!探しに行ってみて!」というメッセージを伝えます。

円形ダンスでは、餌場の正確な方角までは示しません。では、他の蜂はどうやってその餌場を見つけるのでしょうか? 秘密は「匂い」にあります。ダンスを踊っている蜂の体には、訪れた花の蜜や花粉の香りが付着しています。巣の中にいる他の働き蜂は、踊り手に近づいて触角で触れ、その匂いをかぎ取ります。そして、「なるほど、この匂いの花が近くにあるんだな」と理解し、巣の周辺で同じ匂いの花を探しに出かける、というわけです。また、ダンスの活発さや持続時間によって、餌の質(蜜の甘さなど)に関する情報も伝わると考えられています。

遠くの蜜源は「尻振りダンス」でナビゲート!

では、餌場が巣からもっと遠い場所(約100メートル以上)にある場合はどうするのでしょうか? ここで登場するのが、ミツバチのコミュニケーション能力の真骨頂とも言える、「尻振りダンス(Waggle dance / Schwänzeltanz)」です。このダンスは、餌場の方向と距離の両方を、かなり正確に仲間に伝えることができるのです!

尻振りダンスの動きは、数字の「」の字を描くような軌道をとります。蜂はまず一定方向にまっすぐ進みながらお尻(腹部)を左右に激しくブルブルと振るわせ(これがWaggle = 尻振り)、その後、右回り(または左回り)に半円を描いて元の場所に戻り、再び同じ直線上をお尻を振りながら進み、今度は先ほどとは逆回りの半円を描いて戻る、という動きを繰り返します。

この複雑なダンスが、どのようにして具体的な情報を伝えているのでしょうか?

【方向の伝え方】太陽がコンパス!

ミツバチの巣の中は真っ暗闇です。目印になるようなものはありません。そこでミツバチたちは、地球の重力を利用して「垂直方向(真上)」を基準にします。そして、この巣板の垂直上向きの方向を、現在の「太陽の方向」と見立てるのです。 餌場の方向は、8の字ダンスの中央の直線部分(お尻を振って進む部分)の角度によって示されます。具体的には、その直線部分が、巣板の垂直方向(=太陽の方向)からどれだけ傾いているかで、餌場が太陽に対してどの方向にあるかを表現します。

  • もし直線部分がまっすぐ真上を向いていたら、「太陽のある方向へ飛べ!
  • もし直線部分がまっすぐ真下を向いていたら、「太陽とちょうど反対の方向へ飛べ!
  • もし直線部分が垂直方向から右へ30度傾いていたら、「太陽の方向から右へ30度ずれた方向へ飛べ!

という具合です。太陽は時間と共に空を移動しますが、ミツバチは体内時計を持っており、太陽の位置の変化を補正してダンスの角度を調整することができると考えられています。さらに驚くべきことに、曇っていて太陽が直接見えない日でも、ミツバチは空の偏光(太陽光が大気中で散乱する際に生じる光の振動方向のパターン)を感知することができるため、それを利用して太陽の位置を正確に把握し、ナビゲーションを行うことができるのです。まさに自然界のスーパーナビゲーターですね!

【距離の伝え方】尻振りの時間と回数!

餌場までの距離の情報は、8の字の中央の直線部分を移動している時間の長さ(持続時間)、またはその間にお尻を振る回数(振動数)によって伝えられます。 餌場が遠ければ遠いほど、直線部分を進む時間は長くなり、お尻を振る回数も多くなります。例えば、「直線部分を1秒間進むダンスは、約1キロメートル先の餌場を示している」といったように、距離とダンスの時間・回数には明確な相関関係があることが実験で確かめられています。

【質の伝え方】ダンスの熱意!

見つけた餌の(例えば、蜜の糖度が高いなど)が良いほど、ダンスはより活発に、より長く続けられる傾向があります。尻振りの振動の激しさなども、餌の質の良さを伝えるシグナルになっている可能性があります。良い情報ほど、熱意を込めてダンスでアピールするわけですね。

ダンスだけじゃない?匂いや音も活用

ミツバチのコミュニケーションは、ダンスだけで完結しているわけではありません。尻振りダンスを踊っている蜂は、しばしば特定の周波数で羽音を立てることが知られています。また、持ち帰った花の蜜や花粉のサンプルを、ダンスを見ている他の蜂になめさせて味や匂いを伝えたりもします。

このように、視覚的(?)なダンス情報に加えて、聴覚(音)嗅覚・味覚(匂い・味)の情報も組み合わせることで、より正確で効率的な情報伝達を実現していると考えられます。

ミツバチのダンスが教えてくれること

ミツバチのダンスの研究は、私たち人間に多くの驚きと発見をもたらしました。

  • 昆虫のような小さな脳しか持たない生き物でも、非常に高度で抽象的な情報(時間的・空間的に離れた場所の方向や距離など)を伝達する能力を持っていること。
  • 動物たちが、私たちが想像もしないような感覚(例えば、偏光を感知する能力)を利用して世界を認識し、コミュニケーションをとっていること。
  • 社会性昆虫のコロニーが、個々のメンバー間の効率的な情報共有によって、まるで一つの大きな生命体のように機能していること。

このダンスは、食料源の情報を伝えるだけでなく、巣が手狭になったときに新しい住処を探す「巣探し」の場面でも使われます。複数の偵察蜂が持ち寄った候補地の情報をダンスでプレゼンテーションし、コロニー全体として最適な新しい巣を選ぶという、民主的な意思決定プロセスにも利用されているのです。

まとめ:小さなダンサーたちの偉大な知恵

巣箱の中で繰り広げられるミツバチの不思議なダンス。それは単なる奇妙な動きではなく、仲間たちの生存と繁栄に不可欠な情報を正確に伝えるための、洗練された「ダンス言語」でした。太陽をコンパスに方向を示し、尻振りの時間で距離を語る。その精巧なシステムは、生命の進化が生み出した驚異の一つと言えるでしょう。

次に公園でミツバチを見かけたら、彼らが巣の中で仲間たちとどんな情報を交換しているのか、想像してみてください。そこには、私たちがまだ解き明かしきれていない、小さな生き物たちの偉大な知恵とコミュニケーションの世界が広がっているのです。

※本記事では英語版も参考にしました

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました