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【おならの科学】クサいのはなぜ?音はどこから?おならの謎と仕組みを大解剖!

科学
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この記事のざっくりまとめ
  • おなら(屁)」は、お尻の穴(肛門)から排出されるガスのことで、誰にでも起こるごく自然な生理現象です。
  • おならのガスの大部分(約99%以上)は、実は食事の時に飲み込んだ空気(窒素や酸素)や、腸内細菌が食べ物を分解する時に発生する水素やメタンといった、ほとんど臭いのないガスでできています。
  • あの独特の「臭い」は、おならの中にほんの少しだけ(1%未満)含まれている、硫黄(いおう)を含むガス(例えば、卵の腐ったような臭いの硫化水素など)が主な原因です。お肉や卵、あるいはニンニクや玉ねぎ、キャベツといった食べ物を多く摂ると、これらの臭いガスが発生しやすくなります。
  • 「ブッ」や「プス~」といった音は、ガスがお尻の出口にある筋肉(括約筋)を震わせながら出る時に鳴ります。ガスの量や出る勢い、お尻の締まり具合などで音は変わります。
  • おならを我慢しすぎるとお腹が張ったりすることもあるので、基本的には自然に出すのが良いですが、あまりにも回数が多かったり、臭いが異常に強かったり、お腹の不調が続くような場合は、まれに病気のサインである可能性もあるので、お医者さんに相談してみましょう。
  • おならは多くの文化で笑いのネタやタブーとされていますが、昔はこれで芸をする人もいたとか!人間以外の動物も、もちろんおならをします

人間の体から出るものの中でも、特に話題にしづらく、でも誰にとっても(そして、実は動物たちにとっても!)非常に身近な生理現象──「おなら(屁)」。

思わず「プッ」と出てしまって、周りの人に聞かれていないかヒヤヒヤしたり、その音の大きさに自分でびっくりしたり、あるいは、その「香り」に顔をしかめたり、しかめられたり……。誰もが一度は、おならにまつわる、ちょっとした(あるいは大きな?)困った経験や、面白い経験を持っているのではないでしょうか。

でも、このおなら、一体どうして出るのでしょうか? 何でできているのでしょうか? そして、なぜ時々、あんなにも「個性的」で強烈な香りを放つことがあるのでしょうか?

今回は、そんな身近でありながら意外と知らない「おなら」の謎と科学について、ちょっと真面目に、でもできるだけ分かりやすく、そしてあまり臭くならないように(?)迫ってみましょう!

本記事は、おならに関する一般的な知識や興味深い情報を提供することを目的としており、医学的なアドバイスや診断に代わるものではありません。健康に関するご心配や具体的な症状をお持ちの場合は、必ず医師や医療専門家にご相談ください。記述内容には、一般的な俗説や簡略化した表現も含まれており、全ての情報が最新の医学的知見に基づいて厳密に検証されたものではないことをご理解ください。

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おならの正体:一体何でできているの?

まず、気になるおならの「中身」から見ていきましょう。「おなら」とは、簡単に言えば、お尻(肛門)から排出される、私たちの体内で作られたり、外から取り込まれたりした気体(ガス)のことです。このガスは、いくつかの異なる種類の気体が混ざり合ったものです。

おならの約99%は、実はクサくない!?

意外に思うかもしれませんが、おならの成分の大部分(約99%以上)は、実は全く臭いのないガスで構成されています。その主なメンバーは、

  • 窒素(ちっそ)
  • 酸素(さんそ)
  • 二酸化炭素(にさんかたんそ)
  • 水素(すいそ)
  • メタン

などです。 このうち、窒素や酸素の多くは、主に私たちが食事をしたり、飲み物を飲んだり、あるいは普通に会話をしたり、唾(つば)を飲み込んだりする際に、無意識のうちに一緒に飲み込んでしまった「空気」に由来します。 一方、水素やメタン、そして二酸化炭素の一部は、主に私たちの大腸の中に住んでいる、たくさんの種類の腸内細菌たちが、私たちが食べたもののうち、胃や小腸で消化しきれなかった食物繊維や糖質などを分解(専門的には「発酵」といいます)する過程で作り出すガスです。

じゃあ、あの臭いの犯人は誰だ!?

では、私たちを悩ませる、あの独特の「おならの臭い」は、一体どこからやってくるのでしょうか?

実は、おなら全体のわずか1%にも満たない、ごくごく微量に含まれているガス成分が、あの強烈な臭いの「犯人」なのです。
その主なメンバーは、「硫黄(いおう)を含む化合物(ガス)」たちです。具体的には、

  • 硫化水素(りゅうかすいそ)
    ゆで卵や温泉地でおなじみの、いわゆる「腐った卵のような」「硫黄の臭い」の原因物質です。
  • メタンチオール(メチルメルカプタンとも)
    たまねぎやキャベツが腐った時のような、ツンとくる臭い。
  • ジメチルスルフィド
    キャベツが煮える時のような、あるいは磯のような臭いとも言われます。

これらの臭いガスは、主に私たちが食べたタンパク質(お肉、お魚、卵、牛乳やチーズなどの乳製品に多く含まれます)や、あるいは硫黄分を多く含む野菜(例えば、ニンニク、玉ねぎ、ニラ、ネギといったネギ類や、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、大根といったアブラナ科の野菜など)が、大腸の中で腸内細菌によって分解される際に発生します。 また、これら以外にも、インドールスカトールといった、実は大便の臭いの主な原因でもある物質も、ごく微量ながらおならの臭いに関わっていることがあります。これらもタンパク質の分解産物です。

つまり、おならの大部分は無臭のガスで、臭いの元はほんのわずかな微量成分だった、ということなんですね。

おならはどこから来るの? 2つの主な発生ルート

おならのガスは、私たちの体の中で、主に二つのルートを通って作られ、溜まっていきます。

ルート1:口から飲み込んだ空気

専門用語では呑気症(どんきしょう)と呼ばれることも。これが意外と多い原因です。私たちは、

  • 食事をしたり、飲み物を飲んだりする時
  • 普通に会話をしている時
  • 緊張したり、ストレスを感じたりして、無意識に唾を飲み込む回数が増えた時

などに、たくさんの空気を一緒に飲み込んでいます。特に、

  • 早食いの癖がある人
  • よく喋りながら食べる人
  • 炭酸飲料をよく飲む人
  • ガムをよく噛む人

などは、より多くの空気を飲み込みやすいと言われています。 飲み込まれた空気の一部は、ゲップとして口から排出されますが、残りの多くは食道を通って胃、そして小腸、大腸へと送られ、最終的におならとなってお尻から出てくるのです。一説には、おならのガスの約7割は、この飲み込んだ空気に由来するとも言われています。このルートで発生するガスは、主に空気の成分である窒素と酸素なので、基本的には臭いはありません

ルート2:お腹の中の腸内細菌によるガスの発生

もう一つの、そしてしばしば臭いの原因ともなる重要なガスの発生源が、私たちの大腸の中に住んでいる、数えきれないほど(100兆個とも!)たくさんの種類の腸内細菌たちです。

彼らは、私たちが食べたもののうち、胃や小腸では消化・吸収されずに大腸まで運ばれてきた食物繊維(野菜、果物、豆類、イモ類、きのこ類、海藻などに多く含まれています)や、一部の糖質(オリゴ糖や、乳製品に含まれる乳糖など)、あるいは消化しきれなかったタンパク質などを、自分たちの「エサ」として利用し、分解(発酵)します。

この分解・発酵の過程で、様々な種類のガスが発生するのです。主なものは、水素、メタン、二酸化炭素といった、基本的には無臭のガスです。よく「豆類やイモ類を食べるとおならが出やすくなる」と言われるのは、これらの食べ物に含まれる食物繊維やオリゴ糖が、腸内細菌によって盛んに発酵され、ガスがたくさん作られるためです。

そして、先ほども触れたように、特にタンパク質(お肉など)や、硫黄分を多く含む野菜(ニンニク、玉ねぎなど)が腸内細菌によって分解される際には、あの独特の臭いの元となる硫黄化合物が発生しやすくなります。

ブッ! プス~ッ… おならの音の秘密と、「すかしっ屁」のメカニズム

さて、おならと言えば、その「」も気になるところですよね。時には大きな音で周りを驚かせてしまったり、逆に全く音が出なかったり。この音の違いは、どこから来るのでしょうか?

おならの「ブッ!」や「プス~ッ」といった音は、お尻の出口にある肛門括約筋(こうもんかつやくきん)という、輪っか状の筋肉が、そこをガスが勢いよく通過する際に振動して発生する音です。ちょうど、笛やトランペットのような楽器で、リード(振動板)や唇が震えて音が出るのと同じような原理ですね。

音の大きさ高さ、そして音色(?)は、いくつかの要因によって変わってきます。

  • ガスの量
    一度に排出されるガスの量が多ければ多いほど、音は大きく、長くなりやすいです。
  • 排出のスピード(勢い)
    ガスが肛門から勢いよく、速いスピードで押し出されるほど、音は高く、鋭く、そして大きくなりやすいです。
  • 肛門括約筋の締まり具合
    お尻の筋肉がキュッと締まっている時に、ガスがその狭い隙間を無理やり通り抜けようとすると、括約筋がより激しく振動し、大きな音が出やすくなります。逆に、お尻の筋肉がリラックスしている時には、ガスがスムーズに通り抜けられるため、音が出にくくなることがあります。
  • お尻の形や体の姿勢
    実は、お尻の肉のつき方や、その時の体の姿勢(座っているか、立っているか、前かがみかなど)によっても、ガスの出口の形や、音の響き方が微妙に変わり、音質に影響を与えることがあるようです。

では、音が出ない、あるいは非常に小さな音しかしない、静かなおなら、いわゆる「すかしっ屁」は、どうして起こるのでしょうか? これは主に、排出されるガスの量が少なく、かつ、ゆっくりとしたスピードで、肛門括約筋をあまり振動させずに排出された場合に起こります。周りの人に気づかれにくいというメリット(?)はありますが、その分、臭いの成分が凝縮されていて、かえって「香り」が強烈になってしまうこともあるので、油断は禁物かもしれませんね……。

なぜクサい?おならの臭いの原因と、ちょっとした対策

やはり、おならで一番気になるのは、あの独特の「臭い」ではないでしょうか。同じ人間のおならでも、全然臭わない時もあれば、「うっ…」と思わず鼻をつまんでしまうほど強烈な臭いを放つ時もあります。この違いは、一体どこから来るのでしょうか?

先ほども少し触れましたが、おならの臭いの主な原因は、おなら全体のほんのわずか(1%未満)しか占めていない、「硫黄(いおう)を含むガス」(例えば、硫化水素、メタンチオール、ジメチルスルフィドなど)です。これらのガスは、主に私たちの腸内細菌が、食べた物に含まれるタンパク質や、硫黄分を多く含む野菜などを分解する際に発生します。

つまり、おならの臭いは、「何を食べたか」と、「その時の腸内環境(特に腸内細菌の種類やバランス)」によって、大きく左右される、というわけです。

こんな食べ物を食べると、臭いが強くなりやすいかも?

動物性タンパク質の多いもの

お肉(特に赤身肉)、お魚、卵、牛乳やチーズなどの乳製品。これらをたくさん食べると、腸内ではこれらを分解するいわゆる「悪玉菌」と呼ばれる種類の細菌が増えやすくなり、その結果、臭いの元となる硫黄化合物が多く発生し、おならの臭いが強くなる傾向があります。

硫黄分を多く含む野菜

ニンニク、玉ねぎ、ニラ、ネギ、エシャロットといったネギ類の野菜や、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、大根、カブといったアブラナ科の野菜、そして豆類(大豆、レンズ豆など)の一部。これらの野菜には、健康に良い成分もたくさん含まれていますが、同時に硫黄分も多く含んでいるため、これらをたくさん食べると、腸内で分解される過程で、どうしても臭いの原因となるガスが発生しやすくなります。

腸内環境と臭いの関係

便秘

便が腸の中に長い時間留まっていると、腸内では悪玉菌が増殖しやすくなり、食べ物のカスが異常に発酵したり、腐敗したりして、より多くの、そしてより強烈な臭い物質が作られてしまいます。その結果、おならの臭いも非常にきつくなりがちです。

腸内フローラ(細菌叢)のバランス

私たちの腸の中には、数百種類、数にして100兆個以上もの腸内細菌が住んでおり、お花畑(フローラ)のようにびっしりと生息しています。この腸内細菌の集団(腸内フローラ)のバランスが、おならの臭いにも大きく影響します。一般的に、乳酸菌やビフィズス菌といった「善玉菌」が優勢で、腸内環境が良好な場合は、食べ物の分解がスムーズに進み、悪臭の原因となるガスの発生が抑えられる傾向があります。逆に、「悪玉菌」が増えると、腐敗が進みやすくなり、臭いも強くなると言われています。

臭いを少しでも抑えるためのヒント

  • 動物性タンパク質や、硫黄分を多く含む野菜の一度に食べる量に注意し、偏った食事にならないようにする。
  • 食物繊維(野菜、果物、海藻、きのこ類など)をバランス良く、十分に摂ることで、お通じを良くし、腸内環境を整える。
  • 発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌、キムチ、漬物など)を積極的に食事に取り入れ、腸内の善玉菌を応援する。
  • 食事はよく噛んで、ゆっくりと食べる。これにより、空気を一緒に飲み込む量を減らすことができます。
  • 適度な運動を心がける。運動は腸の動き(ぜん動運動)を活発にし、便通を改善する効果があります。
  • ストレスを上手に発散する。実は、ストレスも自律神経を通じて腸の働きに影響を与え、腸内環境を悪化させる一因となることがあります。

おならの回数と健康:我慢は禁物? 病気のサインかも?

健康な人でも、1日に平均して10回から20回くらいは、おならをしていると言われています。意外と多いですよね! 排出されるガスの総量も、合計で数百ミリリットルから、多い人では1.5リットル以上にもなるそうです。もちろん、これはあくまで平均であり、食べたもの、体調、生活習慣、そして個人差によって、回数や量は大きく変動します。

おなら、我慢するとどうなる?

会議中、電車の中、静かな場所… おならが出そうになっても、人前ではなかなか出すわけにはいきませんよね。多くの人が、ぐっと我慢した経験があると思います。

基本的に、おならを時々我慢する程度では、すぐに健康に大きな害が出るということはありません。しかし、我慢し続けると、ガスが腸内にどんどん溜まっていき、お腹が風船のようにパンパンに張って苦しくなったり(腹部膨満感)、お腹の中でガスがゴロゴロと動き回って不快な音を立てたり、時には痛みを感じたりすることがあります。

また、腸内にガスが充満することで、腸の正常な動きが妨げられ、便秘が悪化したり、あるいは我慢したガスの一部が腸の壁から血液中に再吸収されてしまい、それが呼気(吐く息)や汗などから体外に出て、体臭の原因になったり、肌荒れなどを引き起こしたりする可能性も、一部では指摘されています。

やはり、おならは体からの自然なサインですから、我慢しすぎずに、できるだけ我慢しないで(もちろん、場所とタイミング、マナーは大切ですが!)自然に排出するのが、体にとっては一番良いのです。

こんなおならは要注意! もしかしたら病気のサインかも?

ほとんどのおならは、生理的なものであり、特に心配する必要はありません。しかし、次のような状態が長く続く場合は、もしかしたら何らかの体の不調や、病気が隠れているサインである可能性も考えられます。

  • おならの回数が、普段と比べて異常に多い状態が続く(例えば、1日に25回を超えるなど、自分で「明らかにおかしい」と感じるレベル)。
  • おならの臭いが、普段と比べて異常に強い、あるいはこれまで経験したことのないような不快な臭いが続く。
  • おならが頻繁に出るだけでなく、激しい腹痛、下痢や便秘の繰り返し、お腹の張り、吐き気、血便、原因不明の体重減少といった、他のお腹の症状を伴う。
  • 特定の食べ物(例えば、牛乳や乳製品など)を食べた後に、必ずお腹がゴロゴロして張ったり、ガスが異常にたくさん出たりする(これは、乳糖不耐症などの、特定の食物に対する不耐性が原因かもしれません)。

このような場合は、「たかがおなら」と自己判断せずに、一度、消化器内科などのお医者さんに相談してみることをお勧めします。もしかしたら、過敏性腸症候群(IBS)吸収不良症候群、あるいは稀ではありますが腸閉塞(ちょうへいそく、腸が詰まってしまう病気)や大腸がんといった、専門的な検査や治療が必要な病気が隠れている可能性も考えられます。

世界のおなら事情:文化、ユーモア、そして歴史

おならという、誰にでも起こる生理現象は、世界中のどの文化においても、ある種のタブー(公の場で話題にしにくいこと)であり、同時にユーモアの格好の的ともなってきました。

マナーとしての配慮は万国共通?

多くの社会や文化において、公の場や人の前で、音を立てておならをしたり、明らかに臭いを周囲に漂わせたりすることは、一般的に失礼な行為、マナー違反と見なされます。私たちは子供の頃から、そうした社会的なルールを、親や周りの大人たちから(時にはユーモラスな叱責と共に)学んでいきます。

笑いの対象としての「おなら」

その一方で、おならの音や臭いは、その生理現象ゆえの滑稽さや、タブーを破る面白さからか、子供たちの間だけでなく、大人の間でも、しばしば笑いを誘う「下ネタ」の定番として、古今東西のコメディ、ジョーク、コント、落語などの題材となってきました。

日本の古典的な絵巻物の中には、おならをテーマにしたユーモラスな絵画作品「屁合戦絵巻(へがっせんえまき)」が存在します。これは、人々がおならの勢いを競い合ったり、おならを武器として戦ったりする様子を、大真面目に、しかし滑稽に描いたもので、当時の人々のユーモアセンスをうかがい知ることができます。

歴史上の意外な「おなら」

歴史を紐解くと、おならにまつわる意外な話も出てきます。

古代ギリシャの歴史家ヘロドトスは、エジプトのファラオ(王様)が、宴会の席でおならを我慢しすぎたために病気になって死んでしまった、という(おそらくは創作でしょうが)逸話を記しています。

なんと、中世ヨーロッパの宮廷には、「放屁師(ほうひし / 英語では flatulist, フランス語では farteur)」と呼ばれる、おならの音の大きさや高さ、長さを巧みに操って、まるで楽器のようにメロディーを奏でたり、様々な音を真似たりして、王侯貴族や人々を楽しませるという、専門のエンターテイナー(芸人)が実在した、という驚くべき記録も残っています(例えば、12世紀のイギリスにいたとされるローランド・ザ・ファーターなどが有名です)。

さらに、日本の江戸時代には、もっと驚くような「おなら」にまつわる職業があったと言われています。それは「屁負比丘尼(へおいびくに)」と呼ばれる女性たちです。彼女たちは、武家や裕福な商家といった良家の娘に付き添い、もし娘が人前でうっかりおならをしてしまった際に、すかさず「失礼いたしました、ただいまのは私のおならでございます」と、その「罪」や「恥」を肩代わりするという、にわかには信じがたい役目を担っていたそうです。(「屁負比丘(へおいびく)」や「科負比丘尼(とがおいびくに)」といった呼び名もあったようです。)当時の身分の高い女性にとって、人前での放屁がいかに面目を失うことであったか、そしてそれを隠すためにこのような専門の職業まで存在したというのは、現代から見ると非常にユニークな文化と言えるでしょう。

医療との関わりも?

かつては、医師が患者のおならの臭いや音、回数などを、その人の健康状態や消化器系の調子を判断するための、一つの手がかりとしていた時代もあったようです。(もちろん、現代の精密な医療検査が発達した今日では、そのような診断方法は行われていません。)

人間だけじゃない? 動物たちのおならの世界

実は、おならをするのは、私たち人間だけではありません。犬や猫といった身近なペットが「ブッ」とやるのを聞いたことがある人も多いでしょう。ほとんどの哺乳類は、私たち人間と同じように、消化の過程で発生したガスをお尻から排出します。

特に、牛、馬、羊、ヤギといった草食動物は、大量の草を食べるため、その草に含まれるセルロースなどの食物繊維を、胃や腸の中にいる特殊な微生物の力で大量に発酵させて消化しています。この発酵の過程で、非常に多くのメタンガスが発生することが知られています。牛のゲップやおならに含まれるメタンガスは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの一つとしても、近年大きな注目を集めており、家畜の飼育方法の改善などが研究されています。

哺乳類以外でも、魚類の一部(例えば、ニシンなどが、仲間とのコミュニケーションや、浮力調整のために、肛門から泡(ガス)を出すことが知られています)や、鳥類(ただし量は少ないようです)、そして昆虫(例えば、シロアリなどが、木材を分解する過程でメタンガスを発生させる)にも、おならに似たガスを排出する種がいることがわかっています。

ちょっと怖い話ですが、おならのガスに含まれる水素やメタンは、燃える性質(可燃性)を持っています。そのため、非常に稀なケースではありますが、ライターの火などが偶然おならに引火して、お尻に火がついて火傷を負ってしまった、という事故も実際に報告されています。特に、病院での手術中など、電気メスなどの火気を使う場面では、腸内に可燃性ガスが溜まっていると危険なため、注意が必要とされることもあります。)

まとめ:おならと上手に、そして健康に付き合おう!

誰の身にも起こる、ごく自然で、そして時には私たちをちょっと困らせたり、笑わせたりする生理現象、「おなら」。その正体は、主に口から飲み込んだ空気と、お腹の中の働き者である腸内細菌たちが、私たちが食べたものを分解する過程で作り出すガスが混ざり合ったものでした。

そして、その大部分は実は臭いのないガスで、あの独特の「香り」を生み出しているのは、ごくごく微量に含まれる硫黄を含むガスたちだった、というわけです。

おならの音の大きさや、臭いの強さは、食べたものや、その時の腸内環境、そしてガスの出し方によって、実に様々に変化します。我慢しすぎるのは体にとってあまり良くありませんが、あまりにも回数が多かったり、普段と違う異常な臭いが長く続いたり、あるいは他のお腹の不調(腹痛、下痢、便秘など)を伴ったりするような場合は、それは体からの何らかのサインかもしれませんので、一度お医者さんに相談してみるのが良いかもしれません。

ちょっと恥ずかしくて、なかなか大っぴらには話しにくい「おなら」のこと。でも、その仕組みや原因を知ってみると、意外と奥が深く、私たちの体や健康について、そして時には文化や歴史についてまで、多くのことを教えてくれる、興味深い存在だと思いませんか?

健康な腸内環境を心がけ、バランスの取れた食事をし、そして社会的なマナーを守りながら、上手におならと付き合っていく。それが、私たちの日々の快適な生活につながるのかもしれませんね。

本記事は、おならに関する一般的な知識や興味深い情報を提供することを目的としており、医学的なアドバイスや診断に代わるものではありません。健康に関するご心配や具体的な症状をお持ちの場合は、必ず医師や医療専門家にご相談ください。記述内容には、一般的な俗説や簡略化した表現も含まれており、全ての情報が最新の医学的知見に基づいて厳密に検証されたものではないことをご理解ください。

※本記事では英語版も参考にしました

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