- 「Me at the zoo」(ミー・アット・ザ・ズー)は、巨大動画共有サイトYouTubeに、歴史上、一番最初にアップロードされた記念すべき動画です。
- この動画が投稿されたのは、2005年の今日、4月23日(米国太平洋時間)。投稿したのは、YouTubeの共同創設者の一人であるジョード・カリム氏でした。
- 動画の内容は驚くほどシンプル。カリム氏がカリフォルニア州のサンディエゴ動物園のゾウの前で、「ゾウさんです。彼らのすごくクールな点は、本当に、本当に、本当に長い鼻を持っていること。クールだね」とわずか18秒ほど話すだけの内容です。
- この何気ない日常の一コマを切り取った素朴な動画が、世界中の人々のコミュニケーションや文化を大きく変えることになるYouTubeというプラットフォームの、全ての始まりとなりました。「誰もが動画の発信者になれる時代」の幕開けを告げた、歴史的な一本として知られ、現在もYouTubeで視聴可能、再生回数は数億回に達しています。
今や私たちの生活にすっかり溶け込み、情報収集からエンターテインメント、学習、コミュニケーションまで、あらゆる場面で利用されている動画共有プラットフォーム「YouTube」。毎日、世界中で信じられないほどの数の動画がアップロードされ、視聴されています。
では、この巨大なプラットフォームに、一番最初に投稿された動画は、一体どのようなものだったのでしょうか?
その記念すべきYouTube第一号の動画こそ、2005年の今日、4月23日にアップロードされた、「Me at the zoo」(ミー・アット・ザ・ズー)というタイトルの、わずか18秒ほどの短い動画なのです。まさに今日が、YouTubeの動画投稿史が始まった記念日というわけですね!
今回は、インターネットの歴史、そして現代文化の大きな転換点ともなった、この伝説的な「最初のYouTube動画」について、その内容や背景、そしてなぜこれが重要なのかを探ってみましょう。
すべてはここから始まった:YouTube初の動画
「Me at the zoo」(日本語に訳すと「動物園にいる僕」とか「動物園にて」といった感じでしょうか)というタイトルのこの動画は、YouTubeという世界最大の動画共有サイトに、正真正銘、一番最初にアップロードされた動画として、インターネットの歴史に燦然(さんぜん)と輝いています(あるいは、素朴に佇んでいます)。
この歴史的な動画が投稿された正確な日時は、2005年4月23日 午後8時27分12秒(米国太平洋夏時間 / PDT)。投稿したのは、当時まだ20代半ばの青年、ジョード・カリム(Jawed Karim)氏です。彼は、後にGoogleに約16億5000万ドル(当時のレートで約2000億円近く!)という巨額で買収されることになるYouTubeを、チャド・ハーリー氏、スティーブ・チェン氏と共に立ち上げた、三人の共同創設者の一人でした。彼が自身のアカウント「jawed」を使って、開発中のYouTubeプラットフォームに、テストも兼ねてこの最初の動画をアップロードしたのです。
「ゾウは鼻が長くてクール」:わずか18秒のシンプルな内容
さて、世界を変えたプラットフォームの「最初の動画」と聞くと、何か特別な、あるいは感動的な内容を想像するかもしれません。しかし、「Me at the zoo」の内容は、驚くほどシンプルで、素朴です。
- 映っている人
投稿者であるジョード・カリム氏本人。ややカジュアルな服装で、少しぎこちない表情を見せています。 - 場所
アメリカ・カリフォルニア州にある有名なサンディエゴ動物園。彼の背後には、ゾウの檻が見えます。数頭のゾウが、藁(わら)のようなものを鼻でいじっている様子がうかがえます。 - 撮影者
カリム氏の高校時代の友人である、ヤコフ・ラピツキー氏がカメラを回しました。 - 長さと画質
動画の長さはわずか18秒(YouTube上の表示。19秒とされることもあります)。画質は、現在の高画質動画に慣れた目からすると、かなり粗く、低い解像度です。 - 内容(セリフ)
カリム氏はカメラに向かって、淡々と、しかし少し照れたように話し始めます。
“Alright, so here we are, in front of the elephants.” (えーっと、それじゃあ、僕らはここにいます。ゾウさんの前です。)
“The cool thing about these guys is that they have really, really, really long trunks, and that’s, that’s cool.” (こいつら(ゾウ)のクールな点は、本当に、本当に、本当に長い鼻を持っているってこと。で、それは、それはクールだね。)
“And that’s pretty much all there is to say.” (まあ、言うことは、これくらいかな。)
そして、少しカメラに視線を送った後、動画は唐突に終わります。
特別な編集、BGM、テロップ、凝ったカメラワークなどは一切ありません。ただ、動物園を訪れた一人の青年が、ゾウについて思いついたことを一言コメントする――。本当に、それだけの動画なのです。
歴史的な一本:なぜこの動画が重要なのか?
この、あまりにも普通で、素朴な「Me at the zoo」が、なぜインターネット史やメディア史において、これほどまでに重要視され、伝説的な存在として語り継がれているのでしょうか? それは、この動画が持ついくつかの象徴的な意味合いにあります。
YouTubeという歴史の原点
言うまでもなく、これがYouTubeという巨大プラットフォームに投稿された、正真正銘の「第一号」の動画である、という歴史的な事実そのものが最大の理由です。今や世界中で数十億人が利用し、情報の流通、エンターテインメントの形、政治や社会運動、教育、そして人々のコミュニケーションのあり方そのものに、計り知れない影響を与えているYouTube。その全ての物語が、この一本の短い動画から始まったのです。
「日常の断片を共有する」文化の萌芽
この動画は、テレビ局や映画会社のようなプロフェッショナルが制作した、作り込まれたコンテンツではありませんでした。投稿者のジョード・カリム氏は共同創設者ではありますが、当時はまだ世間的には無名の若者でした。彼が、動物園を訪れたという日常の一コマを、特別な意図や気負いもなく、ただ友人との間で、あるいはプラットフォームのテストとして「共有」するためにアップロードした、というその行為そのものが、非常に重要でした。これは、後にYouTubeというプラットフォームが爆発的に普及する原動力となった、「普通の一般の人々が、自分の身の回りの出来事、体験、考え、趣味などを、飾らない形で気軽に動画にして発信し、世界中の人々と共有する」という文化の、まさに**最初の萌芽(ほうが)**を示していたのです。今日のVlog(ビデオブログ)文化の、最も初期の、そして最も象徴的な例と言えるでしょう。
「誰もが発信者になれる」時代の幕開け
高価な撮影機材や、専門的な編集ソフト、そしてテレビ局のような配信インフラがなくても、誰もが手軽に動画を撮影し、インターネットを通じて世界中の不特定多数の人々に向けて発信し、見てもらうことができる。そんな「誰もがメディアの発信者になれる時代」の到来を告げる、記念碑的な一本でもありました。この動画がアップロードされた瞬間から、情報の流れは大きく変わり始めたのです。
現在も続く伝説:数億回再生と創設者のメッセージ
「Me at the zoo」が投稿された当時、YouTubeはまだ一般公開前のベータ版であり、テスト段階でした。そのため、この動画がすぐに爆発的な話題を呼んだわけではありませんでした。
しかし、YouTubeがその利便性と革新性から急速にユーザーを獲得し、世界最大の動画プラットフォームへと成長していくにつれて、この「最初の動画」としての歴史的な価値は、指数関数的に高まっていきました。多くの新聞、雑誌、テレビ、そしてインターネットメディアがこの動画を取り上げ、インターネットの歴史やメディア論、デジタル文化論の研究対象としても頻繁に引用されるようになりました。
現在、この「Me at the zoo」は、YouTube上で誰でも自由に視聴することができます。そして、その再生回数は、2025年4月現在で3億回を超えています! わずか18秒の、しかも特に面白い内容というわけでもない動画が、これほどまでに再生され続けているのは、やはりその歴史的な重みゆえでしょう。動画のコメント欄は、様々な言語で「歴史の証人になりに来ました」「ここが全ての始まりか」「伝説の動画」「2025年から見に来たよ!」といった、「歴史的聖地への巡礼」のようなコメントで埋め尽くされており、今もなお増え続けています。
ちなみに、この動画を投稿した共同創設者のジョード・カリム氏は、2006年にGoogleがYouTubeを16億5000万ドル(当時の日本円で約1960億円)という巨額で買収した際に、他の共同創設者たち(チャド・ハーリー氏、スティーブ・チェン氏)と共に、莫大な創業者利益を得ました。しかし、彼はその後、他の二人ほどメディアの表舞台に出ることは少なく、スタンフォード大学の大学院でコンピューターサイエンスを学ぶなど、比較的静かな道を歩みました。
しかし、彼は時折、この自身が投稿した「Me at the zoo」の動画の説明欄(概要欄)を編集・更新する形で、現在のYouTube(Google傘下)の運営方針に対して、創設者として物申すことがあります。例えば、YouTubeが動画の「低評価(Badボタン)」の数を一般ユーザーから見えなくする仕様変更を行った際には、それを批判する主旨のメッセージを説明欄に掲載し、大きな話題となりました。YouTubeの原点であるこの動画は、彼にとって今もなお、特別な意味を持つプラットフォームへの発言の場となっているのかもしれません。
まとめ:シンプルな始まり、偉大な一歩
2005年の今日、4月23日にYouTubeに投稿された、わずか18秒の動画「Me at the zoo」。動物園のゾウの前で、一人の青年が「ゾウは鼻が本当に長くて、それはクールだね」と、ただそれだけを語る、驚くほどシンプルで素朴な動画でした。
しかし、この一本の動画が、その後の世界のコミュニケーション、文化、エンターテインメント、そして社会のあり方そのものを大きく変えることになる、巨大なプラットフォーム「YouTube」の、まさに最初の一歩となったのです。
特別なことは何も映っていない、ごくありふれた日常の一コマ。しかし、それこそが、誰もが自分の物語を発信できる新しい時代の幕開けを象徴していたのかもしれません。
今日、YouTubeを開いたら、検索バーに「Me at the zoo」と入力して、この歴史的な「最初の動画」を改めて視聴してみてはいかがでしょうか? そこには、今や私たちの生活の一部となった動画共有文化の、驚くほどシンプルで、しかし力強い「原点」が、20年前のサンディエゴ動物園の空気と共に、記録されているはずです。
※本記事では英語版も参考にしました




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